2005年1月23日 午前10時発表
まずできること―あなたの温かいメッセージを被災地の友人へ
AMDAは、大地震と津波の発生した26日から緊急体制で、インドネシア、スリランカ、インドの3カ国にて、10カ国参加によるAMDA多国籍医師団やスリランカ事業派遣者チームなどのネットワークと活動実績を駆使した救援活動を実施している。1月23日派遣予定のAMDAインドネシア支部医師3名を加え、現在までの国内外派遣者は80名(他に医学部教授と医学生グループ参加100名)となった。
【インドネシア】
12月28日より、被害が最も甚大な地域のひとつとされるスマトラ島北部バンダアチェ市内で、AMDAインドネシア・カンボジア・カナダ・台湾各支部と岡山本部・AMDA沖縄県支部からの派遣者が救援活動を行っている。
1月19日、ユニセフ(国連児童基金)に協力し、巡回診療で143名に対して、はしかワクチンの接種を行った。高橋徳医師・芳野圭介医師(本部派遣)、AMDAカンボジア支部医師2名、大城七子看護師(AMDA沖縄県支部派遣)、AMSA(アジア医学生連絡協議会)インドネシア支部医学生2名、金山夏子調整員・石沢睦夫調整員が従事した。
避難所での集団生活が続くと、みずぼうそうなどの集団感染が懸念される。AMDAは、新たに23日よりAMDAインドネシア支部医師3名を加え、ユニセフの予防接種事業への協力とともに、ケタパン地区仮設診療所と巡回診療を中心に支援活動を継続する予定である。
<ケタパン地区仮設診療所>
7日開院。度重なる降雨の影響で、閉鎖または一日1〜3時間しか診察できない日が多い。患者数は7〜60人/1日。再診などの患者も定着し、地元に密着した診療所として認識されており、予防接種事業が開始された後も週一回程度の診療は継続していく予定。
<巡回診療>
バンダアチェ市周辺の避難所など数ヵ所で12日から開始し、20日は、2ヵ所で50名が受診した(累計約450名)。外傷、高血圧など慢性疾患、皮膚疾患、栄養不良、精神的苦痛による不安神経症を訴える患者が多い。
<新規派遣(AMDAインドネシア支部)>
・Dr. Muhammad Gafur (麻酔科医)
・Dr. Juslaksmi Dharmapala (麻酔科医)
・Dr. Gatot Susilo Lawrence(法医学)
<帰国予定>
・石沢睦夫調整員 1月24日 23:40ジャカルタ発(JAL714) 25日08:15関西空港着
・金山夏子調整員 1月24日ジャカルタ発同便 ・芳野圭介医師 1月25日ジャカルタ発同便
【スリランカ】
衛生状態の悪化と避難所での集団生活が重なり、感染症の急激な広がりが心配されることから、地元(キリノッチ、ムラティブ、トリンコマリー県)の保健行政局長からAMDAが昨年から実践してきた、地元行政機関の現地スタッフ組織とともに、各小学校等を巡回して行う保健衛生教育が感染症予防に大変有効であり、また他にこの事業を即実施できる団体がないことから、キリノッチ、ムラティブ両県内の全ての小学校、トリンコマリ県内では全ての避難キャンプで予防健康教育を実施してほしい旨要望及び緊急救援対策会議決定を受け、活動を拡張展開している。そもそもこれらの地域は、LTTE(タミルイーラム解放の虎)勢力地域で、LTTE側の保健行政機関と、政府側の保健行政機関の双方に対し活動の許可を取り付ける等の手続きが従来必要であり、そのような環境下でAMDAは2003年2月から活動を開始し双方との信頼関係を築いていてきた経過の上に今回の活動拡張に至っている。津波被災後緊急事態となって以来、キリノッチでの各種緊急救援活動についてはLTTE側援助担当窓口がコントロールしており、今回新たに国外のNGOが物品提供以外の実働的な活動を開始することは非常に許可がおりにくい状況であることがわかった。このたびのAMDAの感染予防教育・医療活動に対するLTTEと政府側双方合意による活動の拡張要請が、いかにこれまでの活動への信頼に基づいたものかが改めて実証された形となった。
<新規派遣者>
出水幸司 調整員、冨田彩香 本部スリランカ医療和平事業担当 (2名同便)
26日関空発(SQ985)シンガポール経由(SQ402)コロンボ着27日00:20
<キリノッチ県>
次のように「手洗い」をテーマに巡回健康教育を実施した。
10日、Pallai地区ウドゥスライ(Uduthrai Maha Vidyalayam)小学校 避難者数1800人受講者数92人
11日、Mulative県Vidyananda College避難者数1072人。受講者数290人
12日、キリノッチ県Kandawalay地区Tharumapuram学校では、ここのケアを目的に、被災者の話をゆっくり聞いたり、椅子取りゲーム等をして共に時間を過ごすことに集中した。
13日、キリノッチ県Pallai地区Mantheinkene避難者数2250人、受講者数164人
14日、ヒンズー教のThai Pngalという1月の大祭で、ポンゴルとよばれる甘く炊いたご飯を食べる日にあたる。 通常であれば1月は当地では収穫月であり、この祭りの時は日の出前に寺院に参拝し、自宅に戻り甘いご飯を神に捧げ、また自宅だけでなく近隣に配り祝い、また地域ごとの壮大な凧あげ大会も開かれる祝い一色の時期である。が新年を祝うことができなった今年は、人々は14日のポンゴレに特別の感慨をもって接した。
土砂に埋もれた6ヶ月の赤ん坊が地面の中から救われた話や、また波にさらわれ椰子の木のてっぺんで生き伸びていた幼子の話など、人々が体験した非日常は我々の想像をはるかに越えるものである。海岸べりの地域はいずれも農作物は皆無となり、流されずに残った椰子の木も塩害により枯れる運命となっている。人々は避難所となっていた学校から出なければならないが、未だに死臭が漂う海辺リの自分の村に帰りたがらない。ムラティブ県だけでも行方不明者は1200人を数える。
これまで一時避難所として学校が使用されてきたが、学校が始まるにつれて避難者は新たなキャンプに移らねばならない段階にきており、人々の移動情報を的確に収集しながら、巡回健康教育サイトを決定しスケジュールを立てるという業務段取りで事業を進めている。いかに多くの被災者の人々に効率よく感染予防知識を得てもらうかという努力が現場の看護師・調整員等により続けられている。津波後感染症予防のため健康教育に特化して活動を行ってきた。24日から巡回診療を再開する。
<トリンコマリ県>
長谷川副統括(看護師)とニュージーランドから参加のタミル語を話すAnn
U.Georgeソーシャルワーカーが、地元の保健行政機関とともに、現地スタッフへの健康教育の技術移転を視野に入れながら、各小学校での健康教育および避難所視察を継続している。18日にはトリンコマリ市内のUNHCR設営の避難キャンプ内の学校にて「手洗い・うがい」をテーマに健康教育を行った。ここでも学校のトイレが流されており、生徒達は同じ敷地内のキャンプのトイレを使っている状態である。またここでも降り続く雨により水溜りが点在しており、蚊の大量発生によるマラリアが心配される。
<カルタラ県>
植木調整員、吉冨調整員はカルタラの国立健康協会(National Institute
of Health)のIndra氏とともに、避難民キャンプでの巡回健康教育を本格的に開始。10日の、カトゥクルンダ(Katukurunda)地区のBuddist
Junior SchoolとRoman Catholic Schoolの2箇所をかわきりに一日2箇所で「手洗い」について健康教育を実施。ムカデ競争や人間知恵の輪など5種類の皆が参加するゲームを行い子どもも大人にも笑顔がもどる時間となった。
【インド】
タミルナドゥ州カダロアCadaloreで、以下のように2日からReliefCamp内での処置及診療を行うチームと巡回診療を行うチームの二手に分かれて医療活動を行った。2〜9日までの受診者数1,083名。10日よりAMDAインド支部医師2名、薬剤師1名、AMDAネパール支部医師2名調整員1名の計6名と本部から派遣の松永調整員を加えた7名で、巡回診療を再開した。けがの処置、化膿の処置の他、慢性疾患の患者受診が多く見られたとの報告。現在、松永調整員は27日からのAMDABangladesh、AMDAIndiaチーム合同ミッションの受入準備をチタンバラン(chitambalam)にて行っている。
10日 Puthupattai村にて121名の受診数
11日 Pudchchottram村にて90名
12日 Puthupattai村にて65名
13日 Sonankuppam村にて192名 これまでの合計受診者数1,551名
現在合計 医師38名、看護師10名、薬剤師1名、調整員30名、ソーシャルワーカー1名 計77名
(他に医学部教授と医学生グループ100名)
活動国 |
現地協力団体 |
派遣者及びその所属支部
(1月8日までの予定含む出発人数) |
インドネシア |
AMDAインドネシア支部
ケスダム軍病院(イスカンダールムダ地区)
AMSA : Asian Medical Students' Association インドネシア支部 |
医師(AMDAインドネシア16名、AMDAカンボジア支部2名、AMDAカナダ1名、芳野圭介 計21名)
看護師(AMDA台湾1名、AMDAカナダ2名、大城七子 計4名)
調整員(諏原、柳田、奥谷、金山、石沢、山道、AMDAインドネシア1名、インドネシア医学生2名 計9名)
他に医学部教授医学生計20名 |
スリランカ |
トリンコマリ県保健行政局
キリノッチ県保健行政局
ムラティブ県保健行政局
AMDAスリランカ支部
CHC : Centre for Health Care
サルボダヤ (Sarvodaya) |
医師(イギリス、AMDAニュージーランド、AMDAカンボジア、AMDAカナダから各1名 計4名)
看護師(長谷川、佐々木、武田他1日本人4名、現地看護師2名 計6名)
調整員(Nithian、幸長、山中、吉見、植木、吉冨、各職、現地スタッフ11名 計17名)
ソーシャルワーカー(AMDAニュージーランド1名) |
インド |
AMDAインド支部
AMDAネパール支部
マニパール医科大学
ICEF : India Canada Environment FacilityFriends' Society in
Social Service |
医師(AMDAインド8名、AMDAネパール4名、日本人1名、計13名)
薬剤師(AMDAインド1名)
調整員(松永、AMDAインド1名、AMDAネパール2名 計4名) |
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