2005年1月19日 午後9時発表
まずできること―あなたの温かいメッセージを被災地の友人へ
AMDAは、大地震と津波の発生した26日から緊急体制で、インドネシア、スリランカ、インドの3カ国にて、10カ国参加によるAMDA多国籍医師団やスリランカ事業派遣者チームなどのネットワークと活動実績を駆使した救援活動を実施している。現在までの国内外派遣者は77名(他に医学部教授と医学生グループ参加100名)となった。
【インドネシア】
震源地に近く、最も大きな被害を受けたスマトラ島北部バンダアチェ市内で、AMDAインドネシア・カンボジア・カナダ・台湾各支部と岡山本部・AMDA沖縄県支部からの派遣者が引き続き救援活動を行っている。
破傷風ワクチン(200名分)、はしかワクチン(1,000名分)の接種を、ケタパン地区仮設診療所と巡回診療にて近日中に実施する予定である。
<ファキナ病院>
9日に活動を開始したAMDAカナダ医師1名・看護師2名、AMDA台湾看護師1名が、壊滅状態になっていた同病院のシステムを再構築した。入院患者受入れ体制の整備も完了したことにより、13日から70名の入院が可能となった。ICU病棟や破傷風患者に対する特別病棟の設置も行った。
AMDAインドネシア医師団は、1日より救急病棟と一般病棟での手術や診療、投薬などを行っている。
*バンダアチェ市内で入院が可能な病院:ファキナ病院、ケスダム軍病院(12/28〜12/31AMDAインドネシア医師団が緊急救援活動を実施。イスカンダールムダ地区)
<ザイナルアビディン病院>
改修が進み、9日から本来ICUとして利用していた部屋で一般診療を開始。ICUは11日から再開され、AMDAカンボジア支部医師2名が中心となり外国からの医療チームと共同で患者への対応にあたっている。ここでの業務は二交代制の為、AMDAカナダ支部医師、本部から派遣した芳野圭介医師も適時参加している。外来は再開当初は80人前後であったが、現在はかなり混雑しているとのことである。ベッド数400床を数えた同病院だが、現在は40床程度が稼動し入院患者の受入れ体制が整いつつある。
<ケタパン地区仮設診療所>
7日開院。度重なる降雨の影響で、閉鎖または一日1〜3時間しか診察できない日が多い。患者数は7〜60人。
再診などの患者も定着し、地元に密着した診療所として認識されており、予防接種事業が開始された後も週一回程度の診療は継続していく予定。また、およそ50人に対し、ビタミンAの配給も実施した。
<巡回診療>
バンダアチェ市周辺の避難所など数ヵ所で12日から開始し、18日までにおよそ400名が受診した。高血圧など
慢性疾患、皮膚病、栄養不良、精神的苦痛による不安神経症を訴える患者が多い。AMDAインドネシア医師、AMDAカン
ボジア医師、AMDAカナダ医師・看護師、AMDA台湾看護師、日本人医師(芳野圭介医師・高橋徳医師)、日本人看護師
(大城七子看護師)が参加している。
13日、AMDA沖縄県支部からの寄贈である、抗生剤16,400錠、使い捨て医療用手袋1,000枚が岡山に届き、14日派遣の3名(石沢睦夫調整員、高橋徳医師、大城七子看護師)により現地に持参された。また、同13日にリコーダーを送る会より寄贈された和英対訳絵本1,000余冊のうちの111冊も現地に持参された。
AMSA(アジア医学生連絡協議会)インドネシア支部から派遣された医学生2名は、インドネシア語の出来ないAMDA多国籍医師団の医師や看護師と患者の橋渡し役として活躍している。
現地ご協力:ホテル・ニッコー・ジャカルタ(宿泊提供) 小林真理(AMDAボランティア・ジャカルタ在住)
【スリランカ】
今後衛生状態の悪化と避難所での集団生活が重なり、感染症の急激な広がりが心配されることから、地元(キリノッチ、ムラティブ、トリンコマリー県)の保健行政局長からAMDAが昨年から実践してきた、地元行政機関の現地スタッフ組織とともに、各小学校等を巡回して行う保健衛生教育が感染症予防に大変有効であり、また他にこの事業を即実施できる団体がないことから、キリノッチ、ムラティブ両県内の全ての小学校、トリンコマリ県内では全ての避難キャンプで予防健康教育を実施してほしい旨要望及び緊急救援対策会議決定を受け、活動を拡張展開している。そもそもこれらの地域は、LTTE(タミルイーラム解放の虎)勢力地域で、LTTE側の保健行政機関と、政府側の保健行政機関の双方に対し活動の許可を取り付ける等の手続きが従来必要であり、そのような環境下でAMDAは2003年2月から活動を開始し双方との信頼関係を築いていてきた経過の上に今回の活動拡張に至っている。津波被災後緊急事態となって以来、キリノッチでの各種緊急救援活動についてはLTTE側援助担当窓口がコントロールしており、今回新たに国外のNGOが物品提供以外の実働的な活動を開始することは非常に許可がおりにくい状況であることがわかった。このたびのAMDAの感染予防教育・医療活動に対するLTTEと政府側双方合意による活動の拡張要請が、いかにこれまでの活動への信頼に基づいたものかが改めて実証された形となった。
<キリノッチ県>
1月10日、佐々木、武田両看護師を中心に、ウドゥスライ(Uduthrai Maha Vidyalayam)小学校にて、「手洗い」、「うがい」をテーマに8歳から18歳の子どもを対象として巡回健康教育を実施した。参加したこどもは爪を切ったり、うがいや手洗いを実際にやってみる実習を楽しみながら学んでいた。同小学校では現在1,800人が避難生活を送っている。ニュージーランドからのベンジャミン医師(ニュージーランドとオーストラリアでの医師免許を有するタミル系内科医、災害医療マネージメント、災害トラウマケアを習得)は、8日からプトゥクディイルップ(Puthukudiyiruppu)病院を中心に、キリノッチ、ムラティブ両県内の避難民キャンプでその専門分野を活かし診療活動を行っている。
<トリンコマリ県>
1月10日長谷川副統括(看護師)とニュージーランドから参加のAnn U.Georgeソーシャルワーカーが、8日に「手洗い」をテーマに健康教育を行ったクッチャウェリ(Kuchchaveli)地区の一つイラニケル(Iranikeru)小学校を復習のため再度訪問したところ、「いつ手を洗うのかな?」という問いかけに対し子ども達は学習したとおりのことを元気一杯の笑顔でこたえてくれたということである。その後同日、アルノーリア(Al
Nooriya)学校を訪問し健康教育を実施した。子ども50名、親20名が参加。日本人が来たというもの珍しさと、Annさんのわかり易いタミル語での授業に子ども達は興味津々で、最後に行った手洗いの実習も熱心に参加したという報告が届いている。
<カルタラ県>
植木調整員、吉冨調整員はカルタラの国立健康協会(National Institute of Health)のIndra氏とともに、避難民キャンプでの巡回健康教育を開始した。また、10日、カトゥクルンダ(Katukurunda)地区のBuddist
Junior SchoolとRoman Catholic Schoolの2箇所で「手洗い」をテーマに、計60名を対象に健康教育を行った。
【インド】
タミルナドゥ州カダロアCadaloreで、以下のように2日からReliefCamp内での処置及診療を行うチームと巡回診療を行うチームの二手に分かれて医療活動を行った。2−9日までの受診者数1,083名。10日よりAMDAインド支部医師2名、薬剤師1名、AMDAルパール支部医師2名調整員1名の計6名と本部から派遣の松永調整員を加えた7名で、巡回診療を再開した。けがの処置、化膿の処置の他、慢性疾患の患者受診が多く見られるとの報告。
10日はPuthupattai村にて121名の受診数 11日 Pudchchottram村にて90名
12日 Puthupattai村にて65名 13日 Sonankuppam村にて192名 これまでの合計受診者数1,551名
現在合計 医師35名、看護師10名、薬剤師1名、調整員30名、ソーシャルワーカー1名 計77名
(他に医学部教授と医学生グループ100名)
活動国 |
現地協力団体 |
派遣者及びその所属支部
(1月8日までの予定含む出発人数) |
インドネシア |
AMDAインドネシア支部
イスカンダール軍病院
AMSA : Asian Medical Students' Association インドネシア支部 |
医師(AMDAインドネシア13名、AMDAカンボジア支部2名、AMDAカナダ1名、芳野圭介 計18名)
看護師(AMDA台湾1名、AMDAカナダ2名、大城七子 計4名)
調整員(諏原、柳田、奥谷、金山、石沢、山道、AMDAインドネシア1名、インドネシア医学生2名 計9名)
他に医学部教授医学生計20名 |
スリランカ |
トリンコマリ県保健行政局
キリノッチ県保健行政局
ムラティブ県保健行政局
AMDAスリランカ支部
CHC : Centre for Health Care
サルボダヤ (Sarvodaya) |
医師(イギリス、AMDAニュージーランド、AMDAカンボジア、AMDAカナダから各1名 計4名)
看護師(長谷川、佐々木、武田他1日本人4名、現地看護師2名 計6名)
調整員(Nithian、幸長、山中、吉見、植木、吉冨、各職、現地スタッフ11名 計17名)
ソーシャルワーカー(AMDAニュージーランド1名) |
インド |
AMDAインド支部
AMDAネパール支部
マニパール医科大学
ICEF : India Canada Environment FacilityFriends' Society in
Social Service |
医師(AMDAインド8名、AMDAネパール4名、日本人1名、計13名)
薬剤師(AMDAインド1名)
調整員(松永、AMDAインド1名、AMDAネパール2名 計4名) |
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