日本から派遣された館野調整員は、6日夕刻、ネパール東部ジャパ郡のゴールダップ難民キャンプに到着後、直ちに被災状況を視察した。
館野調整員の報告によると、同キャンプの人口は、約9,700人。1日夜の火災発生後、住民は近隣の林に逃れ、ビニールシートのテントを仮設住居として、避難生活を始めた。その他、難民キャンプ内にある、4棟の学校に約200人が収容されている。食料は、国連世界食糧計画(WFP)により配給され、31ある井戸は汚染の心配はなく、水タンクも設置されている。トイレは、被災後再建されているが、不足しているとのことである。
AMDAネパール支部が運営する、同キャンプ内にあるAMDAクリニックは火災による被害はなく、発生直後より負傷者を治療している。また、巡回診療や毛布の配布なども開始した。今後、避難場所近くに診療所を設置し、また、蚊の発生を防ぐため、数多くある水溜りに殺虫剤をまく予定である。
【活動開始日】
3月1日夜の火災発生直後
【活動参加延べ人数】
計26人
AMDA本部1人(調整員)/AMDAネパール支部15人(医師2人・パレメディック13人)/ブータン難民スタッフ10人
【活動内容】
1.AMDAクリニックでの診療
2.物資配布:
毛布187枚、古着200着、医薬品(胃腸疾患・呼吸器疾患・眼科疾患・皮膚疾患用 他)
3.巡回診療(3月5日以降):
1チーム6人編成で、3チームが実施
【日本からの派遣】
館野和之(たての かずゆき) 調整員 AMDA本部職員 岡山市在住
3月5日岡山出発
【被災状況】
ネパール東部ジャパ郡のゴールダップ難民キャンプで、1日夜火災が発生。UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)や報道によると、竹などで建てられた家屋のおよそ9割が焼失、8,000〜10,000人が住む場所を失った。同キャンプには、ネパール隣国のブータンにおいて民主化弾圧を受けたネパール系住民が難民として暮らしている。
【AMDAネパール支部】
27人の医師からなる執行部と、数百人が事業に直接携わる。事業対象地域は、ネパール東部、中西部、その2地域をつなぐ幹線道路周辺。中心地はダマック、ブトワール、ヘトウダで、ネパールにおける医療保健分野のニーズをカバーしている。
【AMDAがネパールで実施している事業】 詳細はこちら
1.医療施設の運営:
ジャパ郡ダマック市にあるAMDA病院、ルパンデヒ郡ブトワール市にあるネパール子ども病院の運営。それぞれ1992年、1998年から事業を開始し、内科・外科・救急・検査室・薬局・病棟などを備えた総合病院である。AMDA病院は、10万人を越えるブータン難民に加え、地元住民を含めた人口30万人の地域を、ネパール子ども病院は小児・産婦人科の専門病院として、約80万人の中西部全域をカバーしている。
2.ブータン難民のためのプライマリーヘルスケア:
AMDAは、2001年からゴールダップ難民キャンプを含む7つの難民キャンプで、一次診療、母子保健、予防接種、栄養プログラムなどの活動を行っている。
3.HIV/エイズ予防・性感染症ケア4.医療保健分野の人材育成:
ダマックに、毎年120人の学生が学ぶ保健人材養成センターを設立。卒業後、政府の試験に合格すると准看護師、地域保健助士、臨床検査助士の資格を取得することができる。日本のAMDA支援者の協力により、奨学金も用意している。
【皆様からの募金を受け付けております】
郵便振替:口座番号01250-2-40709 口座名「AMDA」
*通信欄に「ブータン難民キャンプ火災」とご記入下さい